「夜なかなか寝付けない」
「昼夜逆転してしまう」
「眠ってもすぐに目覚めてしまう」など
うつ病になるとかなりの確率で睡眠障害を併発します。
睡眠の乱れは、自律神経の乱れやホルモン分泌の
乱れにもつながり、身体に悪影響を及ぼします。
(参照)>>規則正しい生活習慣が大切
睡眠障害とうつ病は深い関係があり、
うつ病が原因で睡眠障害になることはもちろん、
睡眠障害が原因でうつ病になることもよくあることです。
そのため、質の良い睡眠をとることは
とても重要になってくるのです。
体内時計をリセットする
人間の体内には、自分で生体リズムを調節する機能が備わっています。
皆さんも聞いたことがあると思いますが、
体内時計などと呼ばれている機能です。
朝きちんと体内時計をリセットしないと
どんどん体内時計がずれてしまいます。
体内時計をリセットするには、2つ方法があります。
1つは、朝目覚めたら朝日を浴びて脳の体内時計をリセットする。
2つめは、朝食をしっかり食べて身体の体内時計をリセットする。
要するに、「朝がきた」ということを
脳と身体に教えてあげることが大事だということです。
朝起きたら、窓を開けて太陽の光をいっぱいに浴びましょう。
できれば、午前中はなるべく散歩などに出て
日の光を浴びるようにするとなお効果的です。
体内時計をリセットすることは、睡眠のリズムを取り戻すだけでなく、
代謝がアップし、痩せやすい身体作りにも役立ちます。
うつ病になると食欲がなくなる人が多いですが、
冬季うつ病や新型うつ病の患者さんに見られるように、
過食になることもあります。
抗うつ薬の副作用でも過食になることがあります。
私の場合はリフレックスという抗うつ薬の副作用で過食になりました。
>>私が服用していた薬(サインバルタとリフレックスの効果と副作用)
うつ病で過食気味な人は、朝日を浴びて
朝ごはんをしっかり食べる習慣をつけると良いでしょう。
太陽光の代わりに、2,500ルクス以上の光を網膜に
取り入れることでも、体内時計をリセットすることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>朝の目覚めを良くする方法~光で起きる目覚まし時計とは?
寝るときは電気を全て消すこと(豆電球もダメ)
人間には、体温が下がると眠くなるという性質があります。
この性質を利用して、寝る前にゆっくりと入浴することも、
質の良い睡眠をとるには有効な手段です。
入浴には気分を落ち着かせる効果もあるので
うつ病には良い影響をもたらしてくれます。
入浴後、体温が下がってきた時に寝床につけば
すんなりと眠りにつけることでしょう。
(関連記事)>>冬のお風呂は寒い!すぐできるお風呂場の寒さ対策8選
眠くなるのはどういう時かといいますと、
メラトニンという睡眠ホルモンが活性化される時です。
メラトニンは、昼間日光を浴びると夜に出やすくなるので
やはり日の光を浴びるのは理にかなっているようです。
日光を浴びると脳内神経伝達物質のセロトニンの分泌が促されます。
昼間分泌されたセロトニンは、夜にメラトニンを合成する材料になります。
そのため、日光を浴びるとメラトニンが増えるというわけです。
メラトニンとセロトニンの関係については後で詳しく述べます。
逆に、寝ているときに電気をつけていると
メラトニンが分泌されにくくなってしまいます。
夜、寝ている時に豆電球をつけて寝る人もいると思いますが、
小さな豆電球でも、メラトニンの分泌が抑えられてしまいますので、
寝るときは真っ暗にして寝るほうが良いという研究結果も出ています。
寝る直前にスマートホンやパソコンの画面を
見ることも眠れなくなる原因になります。
>>グッスリ眠って不調を撃退!~睡眠ホルモンを正しく出す方法とは?
また、寝ている時に光を浴びると
食欲を促すホルモンが分泌されてしまうため、
豆電球をつけて寝ている人は、真っ暗な中で寝ている人よりも
肥満になる確率が2倍になるという結果も出ています。
質の良い睡眠をとり、肥満を防止するには
電気を全て消して寝るようにしましょう。
昼夜逆転の治し方(軽症の場合)
私もうつ病で休養していた時は、睡眠が乱れて
昼夜逆転してしまうことが多かったです。
そんな時には「ちょっとずつ時間を戻す」
という方法を使っていました。
一番よくないのは、一気に時間を戻そうとすることです。
たとえば、夜眠れずに朝方に寝るという習慣に
なってしまっていたとします。
これではいけないと思って、
昼間眠いのを我慢して、無理やり夜まで寝ないようにします。
しかし、その日や数日間だけは元に戻るのですが、
すぐにまた夜眠れなくなったりします。
これは、おそらくきちんと体内時計が
リセットされていないからだろうと考えられます。
一気に時間を戻そうとするのは
体に負担がかかるので、やめたほうが良いでしょう。
そこで「ちょっとずつ時間を戻す」という方法を使います。
たとえば、今日は朝の6時に寝たとしたら、
次の日は朝の5時に寝る、というように、
ちょっとずつ時間を元に戻すのです。
1時間でも無理があるなら、30分でも構いません。
この辺りは、ご自分で無理のない時間で調節してみてください。
この方法であれば、数日間~数週間かけて
ゆっくり睡眠時間を戻していくため、
体に負担もかからず、昼夜逆転を治すことができます。
ただし、経験上「時間を戻す」のは良いですが、
「時間を進める」のはあまり良くないように感じています。
結局元に戻れば一緒じゃないかと思われるかもしれませんが、
個人的には体に負担がかかりすぎると感じました。
「ちょっとずつ時間を戻す」
時間は少しかかりますが、効果のある方法ですので、
昼夜逆転にお悩みの方は試してみてはいかがでしょうか。
昼夜逆転が及ぼす悪影響
・体内時計をリセットする
・メラトニンの分泌を促す
・ちょっとずつ時間を戻す
今までお話した上記3つの方法を試してみても、
昼夜逆転が改善しない場合にはどうすれば良いでしょうか。
その話を始める前に、まず昼夜逆転を
続けてしまうと、どのような悪影響を
及ぼすのかについてお話したいと思います。
人間は昼間に活動し、夜に眠る昼行性の
動物であるため、体を維持する様々な機能も
そのサイクルに基づいて作られています。
たとえば、先ほどお話した睡眠ホルモンの
メラトニンも、昼間には出にくく、
夜に出やすいという性質を持っています。
夜に睡眠ホルモンが出やすいということは、
「夜は眠るもの」という前提で体が作られているということです。
このように昼間に活動し、夜しっかり睡眠をとることで、
自律神経やホルモン分泌など、目に見えないところで、
体や心の調子を整える機能が正常に働いてくれるようになります。
逆に言えば、このサイクルを守らない昼夜逆転の生活を
送り続けていると、体や心に様々な弊害が現れることになります。
昼夜逆転が及ぼす悪影響は、大きく以下の3つに分類されます。
(1)精神への悪影響
- イライラ、不安感、悲しみなどの感情を抑えることが難しくなる
- やる気・意欲がなくなる
- もの覚えが悪くなる
- 考えがまとまらなくなる
(2)身体への悪影響
- 免疫機能の低下
- 自然治癒力の低下
- 常に疲労感にさいなまれる
- 血流が悪くなり、心臓病などのリスクが高まる
- 骨がスカスカになり、骨折しやすくなる
- 高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病になりやすくなる
(3)社会生活への悪影響
- 学校や会社勤めができなくなり、社会生活に支障をきたす
- 不安や焦り、自己嫌悪など、ネガティブな感情にさいなまれ、更なる精神症状の悪化を招き、より社会復帰が困難になる
実際にアメリカで夜間勤務の人たちを調べたところ、
ガン、糖尿病、骨折、心臓病など、昼夜逆転が
体へ及ぼす悪影響が多数見られました。
また、イタリアの研究によると、日常的に
時差の影響を受けやすいスチュワーデスは、
ガンを発症しやすい傾向が見られました。
ガンの種類によっては通常の2倍以上のリスクになる、
という結果も出ています。
昼夜逆転してしまうと、上記のように
精神や身体に重大な悪影響を及ぼしてしまい、
結果的に社会生活を送ることが難しくなっていきます。
うつ病やひきこもりにまでなってしまうと、
回復するまでに数か月単位、長い人では
数年単位の時間が必要になってしまいます。
昼夜逆転の根本的な治し方
薬で治すという方法を考える方も多いと思いますが、
薬は現れた症状を和らげることが目的なので、
残念ながら根本的な解決にはなりません。
睡眠薬などを飲んでいる間だけは、
夜に眠ることができるかもしれません。
しかし、薬を飲み続けないと眠れなくなってしまい、
薬に対して過度に依存してしまったり、それに伴い、
不安感・焦燥感なども増々大きくなっていきます。
また、薬を飲み続けることで、薬剤耐性といって、
薬に対する抵抗力がついてしまい、薬自体が
効きづらい体になってしまいます。
そうなると、薬の量を増やしたり、
もっと強い効き目の薬にしなければ
眠れないという体に変化していきます。
(関連記事)>>うつ病の薬は飲みたくない!~10年以上治らないあなたへ
薬で体の機能を無理やり戻そうとしているわけですから、
無理の代償として、副作用などの体にとって良くない
症状も現れてくることになります。
もし、あなたがせっかく昼夜逆転を治そうと
考えているのであれば、薬など一過性の対症療法ではなく、
原因を根本から改善する治療法を選ぶことが重要です。
昼夜逆転に現れている精神、身体、社会生活への
悪影響は、うつ病にも共通点が多く見られます。
なぜ同じような症状が見られるのかと言いますと、
うつ病と睡眠障害は根本的な原因に共通点があるからです。
私たちの目に見えない所で体の機能を調節してくれている
自律神経やホルモン、神経伝達物質などのバランスが
乱れるために、うつ病も睡眠障害も生じています。
この原因を根本的に治療しさえすれば、うつの症状も
昼夜逆転などの睡眠障害も根本的に改善することができます。
昼夜逆転を根本的に改善し、精神的、身体的な
うつ症状も同時に予防、改善してくれる治療法として、
私の経験上、最もおすすめできる方法が「食事療法」です。
食事療法で睡眠障害を改善できる理論について、
以下で簡単にご説明していきます。
メラトニンとセロトニンの関係
先ほど出てきた睡眠を促すホルモン「メラトニン」を
作り出す原料となっているのが、うつ病にも関わりの深い
「セロトニン」という脳内神経伝達物質です。
セロトニンは幸福感などと密接に関係しており、
セロトニンが不足したり、バランスが
崩れるとうつ病になります。
このセロトニンを作り出す材料となっているのが、
「トリプトファン」という必須アミノ酸です。
このトリプトファンを体内に取り込めば、
セロトニンが増え、またメラトニンも増加します。
つまり、人間の体にとって本当に必要な栄養素を取り込み、
必要のないものは取り込まない、ということを行なえば、
体は自然と本来の機能を取り戻していきます。
(もちろん、体はデリケートですので、食事療法も正しい方法を
知った上で行なわないと、却って逆効果になるので注意が必要です。)
上記のように、食事療法で体の中から昼夜逆転や
うつ症状が起こりにくい体質に改善することで、心身ともに
健康な体を維持することができるようになります。
(関連記事)>>うつ病 薬を使わない治療法~「体から治す」という考え方
食事療法を実践するなら、実際に病院でも行なわれていて、
効果もすでに実証されている治療法を行なった方が
間違いが無いのは言うまでもありません。
私がうつ病と睡眠障害を改善した治療法は、
「荒木式断糖食」という食事療法でした。
実際に重度の入院患者に使用され、のべ1000人以上の
患者さんの症状を改善させてきた、体に安全かつ
効果が実証済みの食事療法です。
昼夜逆転によるイライラや自己嫌悪、また将来への
不安を無くし、本気で社会生活への復帰を望まれる方は、
「荒木式うつ病改善プログラム」の実践をお勧めします。
食事療法の実践結果は下記リンク先をご覧ください。
昼夜逆転や浅い眠りにお悩みの方は、
光を自分でコントロールする方法もお勧めです。
生活リズムの改善にお役立てください。
私の体験談が何かの役に立つかもしれません。
良かったらご覧ください。