うつ病が10年以上治らずに
苦しんでいらっしゃる方も多いようです。
精神科や心療内科、メンタルクリニックの医師の
言うとおりに薬を飲んでいるにもかかわらず、
薬の効果を感じられない方は実際に多くいらっしゃいます。
日本特有の「多剤療法」
日本では「多剤療法」と言って、何種類もの薬を出したり、
改善が見られないと薬の量をどんどん増やす傾向が強いようです。
しかし、厚生労働省の「第22回 今後の精神保健医療福祉の
あり方等に関する検討会」の資料によると、
この「多剤療法」は日本特有の考え方であることがわかります。
精神医療の先進国ヨーロッパでは、薬よりも一人ひとりの
患者の状況に耳を傾け、患者本人の心の問題とじっくり
向かい合う姿勢が昔から重視されてきました。
抗うつ薬の開発が急激に進み、薬中心の治療が中心となっている
現代でも、基本的にその姿勢は変わっていないようです。
このような患者一人一人に向かい合う姿勢こそ、
患者自身が求めている医療ですし、またそうあるべきだとも思います。
なぜ多剤療法が日本に浸透したのか?
そして、多剤療法に関して一番驚いたのは
「抗うつ薬を複数種類投与して、
症状が改善したという治験データはない」
という、日本うつ病学会理事で
防衛医大教授の野村総一朗先生の言葉です。
効果がきちんと認められていないのに、
日本だけなぜ「多剤療法」が当たり前のように
行われているのでしょうか?
それは、昔の日本ではうつ病患者よりも
統合失調症の患者が多かったことに由来するそうです。
統合失調症の患者は、うつ病患者に比べて症状が重い場合が多く、
一人ひとりに時間をかけて話を聞くよりも、
薬で症状を抑えることに重点が置かれていました。
現在は、統合失調症の患者が減り、うつ病患者の数が増えています。
薬で症状を抑えることに慣れていた日本の精神科医たちが
アメリカからもたらされた抗うつ薬に一斉に飛びついたのも、
そのような日本的な風土があったためとも言われています。
実際に精神科医たちは、まだ若い研修医のうちに、
統合失調症のような重度の患者を診ることで
経験を積むことが多いそうです。
ところが、こういった重度の精神疾患を持つ
患者たちには、ちょっとぐらい薬を与えただけでは、
効果も見られないし、副作用も現れません。
だから、少しぐらい強い薬でも平気で出してしまうようになり、
その状況に慣れてしまうと、薬の危険性に対する医師の感受性が
鈍っていくということも往々にしてあるようです。
抗うつ薬を大量に服用する危険性
また、抗うつ薬はとても強い薬ですので、
大量に飲み続けていると、薬の副作用で
患者の神経の感受性が鈍くなってしまいます。
大量に抗うつ薬を飲むと「一日中ボーッとする」「気分が悪い」
「頭が痛い」「何もしたくない」という症状が出ますが、
これがうつ病の症状なのか、薬の副作用なのかを
判断するのは専門の医師でも難しいようです。
薬の副作用なのに、うつの症状と誤診してしまった場合には、
薬の種類や量を増やし続け、薬漬けにされてしまうこともあり、
うつ病が治らないまま何年も過ぎてしまうことになります。
同じ効能の薬を何種類も出したり、患者が「調子が悪い」と言うと、
ろくに話を聞きもせずに薬の量を増やすだけで対処しようとする
医師には注意する必要があります。
そのような医師に対しては、うつ病の人にとっては
非常に大変なことかもしれませんが、別の医師に意見を
聞いてみる、いわゆるセカンドオピニオンを活用する、
という姿勢も大切なのかもしれません。
そもそも3人に1人は抗うつ薬が効かない
他に、抗うつ薬について驚いた話がもう一つあります。
うつ病患者4,000人を対象としたアメリカの研究によると、
抗うつ薬を4回、種類を変えながら7年間投与し続けても、
全く効果が現れなかった人たちが35%にものぼったそうです。
つまり、うつ病患者の3人に1人は
抗うつ薬が全く効かないという結果が出ているのです。
この研究結果を考慮すると、10年以上うつ病が治らないという方は、
そもそも抗うつ薬が効かない体質である可能性も否定できません。
薬は効果的に使用してこそ、効果のあるものです。
個人的には、重症時に一時的であれ気分を持ち上げるために
抗うつ薬を使用するのは効果的だと思っていますが、
根本的にうつ病を治す力はないと考えています。
薬を絶対的に信用しすぎてしまうのも、
かえって危険なことなのかもしれませんね。
私自身、抗うつ薬を飲み続けても、
あまり劇的な変化は感じませんでした。
振り返ってみると、プラセボ的な効果はあったかもしれませんが、
ほとんど効果はなかったと言ってもいいと感じています。
依存性の強い抗うつ剤に頼らなくても、
人間がもともと持っている「自然治癒力」に
注目することで、うつ病は改善していきます。
(関連記事)>>抗うつ剤は効かないのか?~痛みや症状は悪くない
薬を使わないうつ病の治療法として「体から治す」
という考え方を知っておいた方が良いでしょう。
抗うつ薬は一時的に症状を抑える効果はありますが、
根本的にうつ病を治す力はありません。
また、抗うつ薬を飲むほどに、人間にもともと
備わっている自然治癒力は弱まり、免疫力が
低下するため、再発のリスクも高まっていきます。
抗うつ薬を飲んでも一向に改善の兆しが見られない、
あるいは、むしろ症状が悪化していると感じる人は、
薬以外の改善策を試された方が良いのかもしれません。
それではなぜ、医師は薬を処方し続けるのでしょうか?
それは病院での短い診療時間とも絡んできます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
>>話を聞いてくれない心療内科~5分診療の知られざるワケ
私の体験談が何かの役に立つかもしれません。
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