うつ病患者の家族など、周囲の人が覚えておくべき心得として、
「励まさない」「怒らない」「焦らない」の“3つのない”があります。
励まさない
「励まさない」は、このブログでも何度もお伝えしてきましたが、
大事なことなので、もう一度言っておきます。
うつ病の人は、自分で自分のことを強く責めています。
あまりに自分を追い詰めすぎて、逃げ場がなくなり、
ある日突然、うつ病を発症してしまいます。
そんな人に対して「もっと頑張れ!」など
励ましの言葉をかけることは、うつ病の人を
さらに追い詰める結果になってしまいます。
(参考)>>うつ病患者への接し方~禁句
「まだ頑張りが足りないの?」
「今まであんなに頑張ったのに…」
「誰も私のことなんてわかってくれないんだ…」と、
どんどんマイナス感情が膨らんでいき、
最悪の結末に至るということもあり得るのです。
怒らない
うつ病の人に対しては「怒らない」で、
全てを受け入れる気持ちで接してあげてください。
ときにうつ病の人は、病気の影響から、
周囲の人にとっては、とてもわがままに
感じられる言動をとることがあります。
理不尽な要求や暴言、時には暴力を振るうことさえあります。
(関連記事)
>>待合室で「怒り」をまき散らす患者
周囲の人が親身になって世話をしても、
「どうせ私のことなんて、どうでもいいと思っているんでしょう。」
などと開き直ったような発言をすることもあるかもしれません。
暴力に対しては、毅然とした態度をとる
必要がありますが、理不尽な要求や暴言には、
「こっちの身にもなってよ!」「いい加減にしろ!」と
怒鳴りたくなったり、イライラしたりすることもあるでしょう。
しかし、相手がわがままになっているのは、
とりもなおさず、うつ病という病気のせいなのです。
イライラして、つい言ってしまった一言が、
うつ病の症状をさらに悪化させてしまうこともあります。
うつ病の人は、自分を受け入れてもらいたいと思っています。
怒りたくなることもあるでしょうが、
これは“病気のせい”だと気持ちを抑えて、
子供に接するように、優しく辛抱強く接してあげてください。
焦らない
3つ目の「ない」は、「焦らない」です。
うつ病は、薬を飲めばすぐに治るという性質の病気ではありません。
大体、完治までには半年ぐらい、
長いと何年もかかる人もいらっしゃいます。
(参考)>>うつ病の治療にかかる期間はどれぐらい?
また、周囲の人が「まだ治らないの?」
という焦りの気持ちを持っていると、
うつ病の人は、それを敏感に感じ取ります。
周囲の人の焦りが、無言のプレッシャーとなり、
回復を遅らせる原因にもなってしまいます。
うつ病と「共存」していくぐらいの気持ちで、
気長に焦らず、うつ病と付き合っていくという姿勢が大切です。
うつ病患者さんの一番の欲求は
「気持ちを理解してもらいたい」ということです。
そんな気持ちが高じて、上で述べたような
わがままな言動をとってしまうこともあります。
裏を返せば、患者さんの気持ちに寄り添った
言動ができれば「理解して欲しい」という欲求は
解消され、症状も回復へ向かって行きやすくなります。
患者さんの気持ちに沿った接し方について、
詳しくはこちらをご覧ください。
私の体験談が何かの役に立つかもしれません。
良かったらご覧ください。