女性のほとんどが50歳前後で経験する「更年期障害」。
男性にも一部ですが、更年期障害が起きることがわかってきました。
男性更年期障害は、男性ホルモン(主にテストステロン)の分泌が低下することによって起きますが、治療によって改善することもわかっています。
男性ホルモンとは
男性ホルモン(主にテストステロン)は、精巣で作られて分泌されます。
男性ホルモンの働きには、以下のようなものがあります。
1. 筋肉・骨を強くする
2. 性機能を保つ
3. 認知能力を高める
4. 痛みをあまり感じさせない
男性更年期障害の症状
男性更年期障害の症状には、心と体に及ぼすものがあります。
【心に現れる症状】
・興味や意欲の喪失
・イライラ
・不安
・憂うつ
【体に現れる症状】
・関節痛
・筋肉痛
・発汗
・ほてり
・疲れやすい
・肥満
・頻尿
・性機能の低下
うつ病との違い
うつ病の場合、食欲不振などの症状によりやせることが多いのですが、男性更年期障害の場合は太ることが多くなります。
やせるか太るかがうつ病と男性更年期障害の違いと言われていますが、冬季うつ病や非定型うつ病(新型うつ病)などの場合でも太ることはありますので、実際には症状だけで見分けるのは難しいです。
具体的に血液検査によって、テストステロンの数値が減少しているかどうかで判断するのが確実でしょう。
男性更年期障害の診断
男性更年期障害の診断は、泌尿器科で行われます。
最近では、メンズヘルス外来や男性更年期外来などを設けている病院もありますので、わかりやすくなっているのではないでしょうか。
具体的な診断方法としては、「問診」と「男性ホルモンの検査」の2つで判断します。
問診では、体や心に症状が現れていないか、性機能は減退していないか、などをチェックします。
男性ホルモンの検査では、血液中のフリーテストステロンの値を測定し、8.5pg/mL未満であれば更年期障害の可能性が高いと考えられます。
問診と男性ホルモンの検査によって、ともに兆候が現れている場合に男性更年期障害と診断されます。
男性更年期障害の治療方法
まず、基本的に誰でもできる男性更年期障害の治療法として「生活環境を見直す」ことが挙げられます。
生活環境を見直す
生活環境の見直しには、以下の4つが挙げられます。
・競い合う
・運動
・睡眠
・ストレスをためないようにする
1. 競い合う
男性ホルモンは、仲間と競い合うことで分泌が促進されます。
テニスやゴルフなどのスポーツや、囲碁や将棋などのゲームなどが適していると言えるでしょう。
また、大きなくくりで競い合うこととして、「自分自身を表現する」ということも挙げられます。
趣味のサークル活動に参加して作品を出品したり、カラオケなどで自慢ののどを披露するなども有効と言えます。
2. 運動
男性ホルモンには、筋肉に刺激を与えると分泌されるという性質があります。
特に、体の大きな筋肉を使う運動に効果が見られます。
たとえばスクワットや腕立て伏せ、階段の上り下り、他に少し息が切れるぐらいに速く歩くことも効果的です。
まとめて運動するよりも、毎日10分など継続して運動する方が効果が高いことがわかっています。
運動は、男性更年期障害だけでなく、女性の更年期障害にも有効です。
3. 睡眠
男性ホルモンの値は、朝高く、夕方下がってきます。
そして、寝ている間に分泌されて回復するという性質を持っています。
十分に睡眠がとれないと、夕方に男性ホルモンが下がったままの状態が次の日も続いてしまいます。
4. ストレスをためないようにする
男性ホルモンは、脳からの指令によって精巣で作られます。
しかし、ストレスを強く感じると脳からの指令が出にくくなってしまいます。
ストレス解消法として、たとえばストレッチやカラオケ、あるいは思い切って温泉に行くなどして、ストレスをためないようにすることが大切です。
生活環境を見直すというのは、男性更年期障害を治すうえで大前提の事柄になります。
ここから、さらに症状が軽い場合と重い場合に分けて考えていきましょう。
症状が軽い場合
男性更年期障害の症状が軽い場合には、「漢方薬」やその他「症状に応じた薬」によって治療をします。
漢方薬では、疲れやすい、やる気がでないなどの症状を改善するために「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」という薬を用います。
補中益気湯は、エネルギーや活力が枯渇した時に使われる薬です。
「症状に応じた薬」というのは、症状に合わせて薬を処方することです。
たとえばうつや不安などの症状がある時には、抗うつ薬や抗不安薬を使います。
また、男性ホルモンが低下すると骨が弱くなることから、骨粗しょう症薬も用いられることがあります。
その他、男性機能が低下している場合には、ED治療薬が用いられることもあります。
症状が重い場合
男性更年期障害の症状が重い場合には、男性ホルモン補充療法が用いられます。
この場合、テストステロン注射を2~4週に1回行ないます。
しかし、テストステロン注射を打つことによって、精巣では男性ホルモンが十分にあると勘違いしてしまい、精巣で精子を作る力が弱くなってしまうというデメリットがあります。
ですので、将来子どもを希望する場合には、hCGホルモン注射を打つことになります。この注射は毎週行ないます。
男性ホルモン補充療法の期間は、3ヶ月行なってみて効果があれば継続します。その後、約1年間が治療の目安となります。
注意点としては、前立腺がんや肝臓病がある人は受けられません。
また、副作用として血液の量が多くなる「多血症」になることがあります。
極端な場合には脳梗塞を引き起こしてしまう可能性がありますので、定期的な血液検査を受けることが大切です。
男性更年期障害についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
うつ病だと思っていたら、実は男性更年期障害だったということも考えられますので、気になる方は血液検査でテストステロンの数値を測ってみるとよいでしょう。
男性ホルモン補充療法は前立腺がんになる恐れもあると言われています。
体になるべく害のないように症状を改善したいのであれば、漢方薬と運動の組み合わせが良いようです。
私の体験談が何かの役に立つかもしれません。
良かったらご覧ください。