今回は、発達障害の人が就職してどんなことにつまづいているのか、そして、それをどう乗り越えればいいのか、についてお伝えしていきます。
「発達障害のために仕事が続かない」とお悩みの人たちには、参考になる内容だと思います。
※発達障害の方の2次障害として、うつ病が深刻な問題になっています。そのため、当ブログでも発達障害について取り扱っております。
仕事が続かない理由~発達障害と言っても人それぞれ
ひと口に発達障害と言っても、様々な種類があります。
たとえば、不注意でのミスが多かったり、じっとしていることが苦手な「注意欠陥多動性障害(ADHD)」。
こだわりが強く人との関わりが苦手な「自閉症スペクトラム障害」。
読み書き計算など特定のことだけが極端に困難な「学習障害(LD)」などがあります。
ADHDや自閉症スペクトラム、LDでも、症状が強く出る部分には個人差がありますし、いくつかの障害を併せ持っている人も多くいらっしゃいます。
このように、発達障害と一口に言っても表に現れる症状は千差万別ですので、仕事で何ができて何ができないのか、周りの人も予測しにくい面があります。
発達障害の人が、自分でも何ができて何ができないのか分かっていたら、周囲の人に伝えられるのですが、大半の人は分かっていないため、コミュニケーションにズレが生じてしまうのです。
また、発達障害は見た目ではわかりにくいという特徴もあり、なおさら理解されにくいという問題もあります。
以上のように、
・発達障害は見た目ではわかりにくい
・周囲の人も何ができて何ができないのか予測がつかない
・発達障害の人も自分がつまづくポイントがわかっていない
などの理由により、周囲の人とのコミュニケーションにズレが生まれ、仕事ができないと思われてしまったり、仕事が続かない状況に陥ってしまうのです。
発達障害の人は仕事上のどんな所でつまづくのか
東京都千代田区にある就労移行支援事務所「Kaien」では、実践的な仕事の訓練を行うことで、発達障害の人が仕事上のどんな所でつまづくのかに気付かせてくれます。
Kaienでは、実践的な仕事の訓練として、実際に受講生がオンラインショップの運営から販売までを行ないます。
講師が管理職として現場でサポートしており、実際の職場に近い環境が作られています。
優先順位をつけられない
ある受講者さんは、3つの作業が重なってどれから先に手をつければ良いのかわからなくなってしまいました。
上司役の講師に相談すると、まず一番に優先すべきことはどれで、なぜそれを優先させるべきなのかをわかりやすく説明してくれます。
受講者さんは、自分が優先順位をつけることが苦手だと認識でき、困った時は上司に相談する大切さも理解でき、どのように解決すれば良いのかもわかるようになります。
思い込みで判断してしまう
別の受講者さんは、注文ごとに送るべきメールを、自分の思い込みから、一通にまとめてお客さんに送ってしまいましたが、ミスをすぐ上司に相談したので大事には至りませんでした。
この受講者さんは、前職では上司に報告すると嫌な顔をされるので、報告せずに自分の判断で行動することが多くなっていました。
しかし、Kaienでの実践的な訓練を通して、それは自分の勝手な思い込みだったと気づきました。
以前は周りの人からの自分の評価が下がるのを恐れて、自分で抱え込むことが多かったそうです。
しかし、それでは却って事態を深刻化させてしまい、結果的に困ることになると理解でき、きちんと報告できるようになりました。
報告の大切さは、Kaienのスタッフや講師から何度も繰り返し教えられたそうです。
Kaienの実践的な訓練を経て自信をつけた受講者たちは、半年以内に就職活動を始められているケースが多いとのことでした。
面接ではマイナス面をどう伝えればいいのか?
同じくKaienで4月から訓練を受けてきた関口麻紀さん。
彼女は昨年ADHDとの診断を受けました。
以前は障害の自覚がなく、仕事上のトラブルも多かったのですが、訓練を経て自信がつき、障害のことを企業にきちんと伝えて就職活動に挑みたいと考えています。
自分の良いところも悪い所も全てストレートに伝えて、それを受け入れてくれる会社なら長く勤められるだろうし、そういう会社に行きたいと思っているからです。
7月には合同の就職面接会を受けに行きました。
関口さんの第一志望は商社の事務です。
ある商社の面接では、まず自分の得意な仕事や作業内容をしっかり伝えました。
そして、関口さんは仕事に優先順位をつけるのが苦手だったため、それもしっかり伝えました。
しかし、苦手なことを伝えるだけではなく、「メモにまとめて優先順位をつけて並べ直す時間を10分ほどいただければ大丈夫です」と自分なりの解決方法までしっかりと提示できていました。
さらに、「自分で考えても優先順位の区別がつかない場合には、上司の方にどれを優先すべきか確認させていただけるとありがたいです」と、優先順位が判断できない場合の解決方法まで提示していました。
ただ単に苦手なことを伝えるだけでなく、それに対してどう対処するのか、対処しきれない場合にはどうするのか、一歩先まで想像力を働かせて先方にアピールできていました。
たしかに優先順位がつけられないことはマイナス面かもしれませんが、このように一歩先まで想像力を働かせて先方にアピールできていたので、担当者はむしろプラスに評価したのではないでしょうか。
一般の方の面接でも、このような受け答えができる人は少ないと思います。
実際に関口さんは、二次面接まで突破して、現在は三次面接の日程調整中だそうです。
合格されるといいですね。
発達障害の人を雇用している企業での対応
神戸市の「I.S.コンサルティング」は、自動車教習所の紹介などを行なっている会社です。
社員20人のうち4人が発達障害の人たちです。
この会社では、発達障害の人たちがやりがいを持って自分の仕事に取り組んでいました。
発達障害の人たちが、やりがいを持って活躍できている秘密とは何なのでしょうか?
それは、毎月社員全員に行なう個人面談にありました。
年に1~2回であれば、個人面談を行なっている会社も多いでしょうが、毎月となるとかなり少ないと思います。
その個人面談によって、一人ひとりの特性を把握し、対応を話し合っています。
面談で得た情報をもとに、社員にどんな業務を任せるかを毎月見直しているそうです。
仕事にやりがいと自信を感じてもらう方法とは?
入社4年目の吉宗紋さんは自閉症スペクトラム障害です。
彼女は口頭でのコミュニケーションが苦手です。
面談でそのことを知った上司は、吉宗さんに以下のような指示を出しました。
1. 電話はとらなくても良い
2. 手順が決まっていて一人で完結できる仕事を任せる
まずはこの条件で仕事をこなすうちに、仕事にも慣れてきて自信がつきました。
そして今では大切な書類の送付など、責任ある仕事も任されるようになりました。
さらに、ある月の面談では、吉宗さん自身から「もっとできることを増やしていきたい」という要望が出てきました。
それを聞いた上司は、次のような指示を出しました。
1. FAXの送信を任せる
2. FAXが届いたかどうか確認の電話をかける
2の「確認の電話をかける」ことで、短い会話の経験を積ませ、それがまた新しい自信につながりました。
今では、かかってきた電話を担当者につなぐ業務まで、こなせるようになっています。
実は、ここにもまた上司の配慮がなされています。
電話を受けるといっても、全ての電話を受けるのは吉宗さんにとってハードルが高すぎます。
なので、「代表」にかかってきた電話だけを取るように指示しました。
「代表」にかかってくる電話は、取引先の企業だけなので想定外の質問が少ないのです。
取り次ぎに集中できるので、吉宗さんも安心して対応することができたのです。
この会社では、段階的にできることを増やしていくことで自信をつけさせ、さらに新しいできることを増やそうという意欲を芽生えさせてくれています。
なかなかこのような対応をしてくれる会社は今のところは少ないかもしれませんが、こういう会社の対応が当たり前の社会になると良いですね。
もし、会社でそのような対応をしてくれなかったとしても、自分で少しずつできることを増やしていくことは可能だと思います。
一度に難しいことにチャレンジしようとするのではなく、ハードルを低くして、段階を踏んでできることを増やしていってください。
そうすることで仕事への自信がつき、仕事に対するやりがいも生まれてくると思います。
今回は「発達障害の就労」について、対処法をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
対処法では対応しきれないような、発達障害に付随する様々な問題でも、原因を特定して正しい方法を用いれば改善することはできます。
アレルギー体質、免疫系が弱い、精神的な不安定さ、周囲との違和感、漠然とした不安感、空気を読むのが苦手、職場での孤立、共感性の欠如、過去のことが頭から離れないトラウマ体質、etc…。
発達障害の人たちが多く持つ、これらの問題点を根本から解決されたい方は、当ブログ推奨教材「アスペルガーADHD発達障害改善マニュアル」のご一読をお勧めいたします。
>>「アスペルガーADHD発達障害改善マニュアル」教材を読んだ感想・評価
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