過剰なストレス反応により、血管破裂や心不全の危険性があることを、前回の記事でお伝えしました。
(前回の記事)
>>ストレスが身体に及ぼす影響
今回は、ストレスが「癌」や「突然死」に及ぼす影響について見ていきます。
ストレスと癌の因果関係
日本人の死亡原因第一位の「癌」。
ストレスがかかった時、癌が急速に進行するメカニズムが初めてわかりました。
アメリカにあるオハイオ州立大学のハイ教授は、免疫に関わる遺伝子「ATF3遺伝子」に注目しました。
私たちの体内では、癌細胞が発生すると、免疫細胞が働いて癌細胞を攻撃し、増殖を食い止めます。
通常、ATF3遺伝子は免疫細胞の中で、スイッチをOFFにした状態で眠っています。
ところが、体内でストレスホルモンが増え、免疫細胞を刺激することで、ATF3遺伝子のスイッチがONになると、免疫細胞は癌細胞への攻撃を止めてしまいます。
ストレスホルモンが減少すれば、ATF3遺伝子のスイッチはOFFになり、再び癌細胞を攻撃するようになります。
しかし、体内にストレスホルモンが多い状態が続くと、スイッチはONのままとなり、免疫細胞は働かなくなります。
そうなると、癌細胞の増殖に歯止めがかからなくなり、生存率が低下してしまうのです。
実際に、乳がん患者の生存率とATF3遺伝子の関係について、調査が行なわれました。
それによると、ストレスホルモンの作用によりATF3遺伝子がOFFの状態(癌細胞を攻撃)では、1年後の生存率は85%、ATF3遺伝子がONの状態(癌細胞への攻撃を止める)では45%にまで低下しました。
この調査結果により、ストレスが遺伝子を変化させて、癌細胞を増殖させてしまうことがわかります。
ストレスと突然死の因果関係
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のデイビス教授が、以前動脈硬化を起こしたことのある人たちを詳しく調べたところ、血管の壁に本来いるはずのない細菌を発見しました。
これらの細菌は、本来口の中などにいるごくありふれた細菌で、歯茎の出血などにより、血管の中に入り込んだものと思われます。
ここにストレスが加わると、ストレスホルモンが血液中の鉄分を切り離し、その鉄分が血管の壁にいる細菌のエサになります。
細菌は鉄分を栄養源にして、大増殖をし始めます。
すると、増殖した細菌が血管の壁を溶かしてしまい、そこから大出血が起こります。
大動脈などの重要な血管で、この現象が起これば、わずか数十分で「突然死」につながってしまいます。
他にも、心臓発作や脳卒中などの「突然死」を引き起こす可能性も高くなります。
何となく「ストレスは悪いもの」と思っている人は多いでしょうが、実際にストレスホルモンの過剰分泌によって、癌や突然死が引き起こされていることはご存知なかったのではないでしょうか。
ストレスは恐怖や不安を感じた時ばかりでなく、ささいな環境の変化にも影響を受けます。
次回は「ストレスと環境の変化」についてお伝えしていきます。
(次の記事)
>>ストレスと環境の変化の関係~ライフイベントストレスチェック表
私の体験談が何かの役に立つかもしれません。
良かったらご覧ください。